十六ピエロ

違う違う、「重力ピエロ」ね。


金曜日、恵比寿から帰宅する電車の中で読み終えた。

重力ピエロ

重力ピエロ


著者、伊坂幸太郎の熱烈なファンの中では批判的な反応もあるようですが、僕自身はとても楽しく読めた。
たしかにトリッキーな話題や、主人公の名前、奇想天外な設定はなかなか理解するのが難しいけど、それもこの作品の楽しさの一部だと思う。


放火現場に残される意味不明なグラフティアート、ジーン(遺伝子)との関係、レイプ、親殺し、ネアンデルタール人、JPG、ジョーダンバットなどなど不思議なものが不思議な関係を紡ぎ出す。


この本のテーマは深い。伊坂流「罪と罰」とも言われている作品だと解説を見たが、そのとおりだと思う。
読み始めは本当に重い話題だと思ったが、その重さを跳ね退ける力が登場人物にある。
特に兄の和泉と、弟の春の問答のようで漫才のようなかけ合いが面白く不思議な雰囲気をかもし出している。


そしてこの本の全ては、
「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」
この一言に隠されている。


深い罪。
許されないはずの罪。
許されてしまう罪。
許されてしかるべき罪。


罪とは?
遺伝子とは?
物事の正論とは?
正義とは?
悪とは?


単純な正義感とか、倫理観とかは無視して一度読んでみることをお勧めします。


実はこの著者、伊坂幸太郎氏の作品は初だったんだけど凄く面白かった。
それに、妙なテンポと巧妙なストーリーにアッという間に読まされてしまいました。