テロリストのパラソル

藤原伊織さんの「テロリストのパラソル」を読み終えました。

テロリストのパラソル

テロリストのパラソル


この藤原伊織さんの著書は初めて読んだ。
でも、第41回の江戸川乱歩賞、第114回の直木賞をダブル受賞したという凄い作品。
まあ、あくまでも賞というのはサッカーで言うところではFIFA発表の世界ランキング程度だと思うけど。
目安程度にはなるでしょう。


口の悪い人からは「全共闘世代の願望充足小説」とか言われていたらしいね。
でも、結論からいうと10年も前の作品なのになかなか面白かった。
もちろん、そうした指摘も判らないでもない。
が、青春時代に命を懸けて打ち込む対象があった時代。
毎日することもなく、ただブラブラと覇気もなく毎日を惰性で過ごしている大学生が蔓延している今の時代だからこそ何となく良い刺激を受けた。


アル中の中年、過去を忘れられない中年。
インテリヤクザと昔の彼女の忘れ形見。
なんとも簡単な人間関係だけど、それらの過去が絡み合って最終的に謎は解決される。


日本という国に愛想を尽かす今の時代。
日本という国を本当に改革しようとしていた時代。
どっちが良い時代だったんだろうか。
本書の内容とは別にそんな事を考えた作品でした。